「ダイエットしても、太もものボコボコだけは消えない」「脚を出すのが恥ずかしい…」。そんな女性のお悩みの原因になっているのが、“セルライト”です。セルライトは単なる脂肪ではなく、皮膚の下で起こっている複雑な変化によって生じます。
この記事では、セルライトの原因やできやすい部位、自宅でできるセルフケア、最新の医療施術まで、気になるセルライトを効果的に除去するために役立つ情報を分かりやすく解説します。
セルライトとは?その原因と形成メカニズム
セルライトとは、「脂肪が蓄積しやすいお尻や太ももなどの皮下脂肪が厚くなり、皮膚がデコボコに見える状態」を指します。
セルライトがデコボコしている理由は、脂肪組織にたまった皮下脂肪が、皮膚の表面に近い真皮のほうまで食い込んでいるから。見た目は「オレンジの皮」や「カッテージチーズ」に例えられ、特に下半身に多く見られる美容上の悩みです。
セルライトができる背景には、次のような複数の要因が関係するメカニズムが存在します[※1-5]。
- 毛細血管やリンパ管の循環不全
循環がうまくいかないことで局所にサイトカインなどの物質が蓄積し、周囲の組織の機能や代謝に悪影響を及ぼします - 脂肪細胞の肥大化
脂肪細胞の体積が増加すると、血管にかかる圧力が増加し、脂肪組織の代謝が阻害されます - 血液とリンパの流れの阻害
血管が圧迫されることで、血液とリンパの流れが滞り、血管内に液体が停滞して、漏れ出しやすくなります。これがセルライトの特徴的な外観(多数のデコボコ)として皮膚表面に現れます - 炎症と線維化
血管から漏れ出した血漿は、周囲の組織で炎症を引き起こし、慢性的な炎症が線維化を促進します。この線維化がさらに組織の柔軟性を失わせ、セルライトを進行させます - 皮下脂肪の過剰
肥大化した脂肪細胞が皮下組織を垂直方向に伸張させることもセルライトができる要因の1つです
上記以外にも、加齢による皮膚のコラーゲン減少や弾力低下など、皮膚のたるみがセルライトを目立ちやすくする可能性も考えられます。
セルライトができやすい部位は?なぜ女性に多いの?

セルライトができやすい部位には共通点があります。それは
「脂肪が蓄積しやすく、筋肉が少ない」
「血流が滞りやすい」
という点です。特に、以下のような部位にできやすいことが知られています。
- 太もも(後面・裏側)
- お尻
- 腰回り・下腹部
- 二の腕
女性にセルライトが多く見られる理由は、男女の解剖学的なからだの構造の違いにあります。
皮下組織には線維性隔壁(結合組織性隔壁)と呼ばれる網目状の組織が存在しており、脂肪細胞の集まりはこの網目の内側に保持されていますが、この線維性隔壁の構造が男女で違うんです。
男性の場合、線維性隔壁はより緻密で、斜め方向に張り巡らされており、脂肪細胞がしっかり支えられています。そのため、脂肪細胞が肥大化しても皮膚表面にデコボコが現れにくいわけです。
一方、女性の場合は線維性隔壁が垂直方向に張り巡らされており、脂肪細胞が皮膚表面に押し出されやすい構造になっています。女性は男性と比べて皮下脂肪が多いので、脂肪細胞の肥大化によるデコボコが現れやすいと考えられます。
自分はどのレベル?セルライトのたまり具合をチェック!
セルライトのたまり具合には個人差があります。セルライトがどのくらい溜まっているかを評価する方法としてよく使われているのが、Nürnberger-Müllerスケールという方法です[※2]。
この方法は、見た目の評価と皮膚をつまんだときの変化などを基準に、セルライトの重症度をグレード0〜3の4段階に分類します。
- グレード0
立った状態と横になった状態のどちらの場合でも、皮膚にデコボコはなく滑らかで、セルライトの兆候は見られない - グレード1
そのままの状態では皮膚は滑らかだが、つまむと小さなデコボコが現れる(初期のセルライト) - グレード2
立った状態だと皮膚にわずかなデコボコが見られ、横になった状態では皮膚は滑らかに見える - グレード3
立った状態と横になった状態のどちらの場合でも、皮膚にはっきりとしたデコボコが見られる
セルライトが軽度であればセルフケアで目立たなくなることもありますが、グレード2以上になるとセルフケアだけでは効果は出にくく、専門的な治療が必要になる場合があります。
セルライト除去は自分でできる?効果的なセルフケアの方法
軽度のセルライトを減らしたり、進行を予防したい場合は、日々のセルフケアが役立ちます。以下に代表的な方法を紹介します。
①ダイエット

セルライトができる大きな要因になっているのは、脂肪細胞の肥大化。そのため、ダイエットをしてからだに溜まっている脂肪を燃焼させることはセルライトの予防・改善につながります。
何から始めたらいいか分からないなら、まず1日に摂っているカロリーを把握することから始めてみましょう。ついつい食べ過ぎて、自分のからだが消費できる以上のカロリーを摂っていることに気づくはずです。
1日の摂取カロリーが消費カロリーを下回るようにすれば、足りない分はからだにため込んだ脂肪を燃やすことで補われるので、体脂肪は自然と減っていきます。
②適度な運動
運動は血行を促進し脂肪燃焼を助けるため、セルライトケアの基本と言えます。座りがちな生活を続けているとセルライトができやすくなるので、普段からできるだけからだを動かすようにすることが大切です。
30~45歳のセルライトに悩む女性を対象にした研究によると、地中海食(野菜・果物や未精製穀物が豊富なヘルシーな食事)とダンスフィットネスの組み合わせはセルライトの減少に効果的と報告されており[※6]、食事と運動の両方を見直すことがセルライト撃退の近道だと言えそうです。
③マッサージ

マッサージは血液とリンパ液の循環を促進し、皮下組織のむくみを減少させることで、セルライトのデコボコを改善します。また、マッサージをすることで脂肪細胞の活動が抑制され、脂肪の蓄積が減少する可能性もあります[※3]。
家庭用のマッサージローラーやマッサージブラシなどを使ってマッサージすると、リンパの流れがよくなり、セルライトの改善につながります。
マッサージするときは、滑りをよくするオイルを使うのがおすすめ。入浴中に太ももやお尻を揉みほぐすようにマッサージするのもいい方法です。
④専用クリームの活用
セルライト対策クリームは数多く市販されており、海外で販売されているものの中にはしっかりと臨床試験を行って効果が確認されているものもあります。
日本では未発売のようですが、イタリアのコスメブランド「JOVITA」のOsmocell Anticelluliteというクリームはセルライト除去効果が臨床的に実証されています[※5]。
このクリームには高濃度の塩化ナトリウムが含まれており、脂肪細胞間に蓄積された過剰な水分が浸透圧によって排出され、リンパの流れが促進されて、脂肪組織の炎症が軽減すると考えられてるようです。
そのほか、カフェインやキサンチンなどの脂肪分解を促進する作用のある成分を含んでいるスリミングクリームもセルライト対策に有効だと考えられます。
医療施術でセルライトを除去する方法

軽度のセルライトはセルフケアで改善が見込める可能性がありますが、グレード2以上の中等度〜重度のセルライトに対しては、セルフケアだけで除去するのは困難です。
どうしてもセルライトをなくしたいなら、医療機関での専門的なアプローチを検討してみるのがおすすめ。 一度の施術でセルライトが改善しない治療もあるので、治療法を決める際は効果が得られるまで何回くらい施術が必要なのかあらかじめ確認しておきましょう。
万が一副作用やトラブルが生じた場合のことを考えて、適切な対応をしてもらえる信頼できるクリニックを選ぶことが大切です。
①脂肪吸引
局所麻酔を使って、皮下脂肪組織に小さな穴を開けてカニューレ(細い管)を差し込み、脂肪を吸引する方法です。治療法の選択肢の1つではありますが、有効性を裏付けるエビデンスはあまりありません。
一般的に、脂肪吸引は皮下脂肪の量を減少させることを目的とした施術であり、ボディラインを整えるために用いられます。
セルライトは脂肪の量だけでなく皮下脂肪組織の構造や皮膚の質感の変化などが複雑に関与して生じるので、脂肪吸引だけではセルライト特有のデコボコを解消するのは難しいかもしれません。
②ラジオ波療法(RF)

皮膚の奥に熱エネルギーを届け、脂肪細胞の分解を促進する方法です。また、線維性隔壁を破壊する効果もあると考えられており、これがセルライト特有のデコボコの改善に寄与する可能性があります[※7]。
そのほか、ラジオ波療法はリンパの流れを促進し、老廃物や過剰な水分を排出する効果も期待できます。
ラジオ波療法は多くの美容外科・美容皮膚科で行われている治療法です。痛みが少なくダウンタイムもほとんどないので、トライしやすい治療法かもしれません。
③体外衝撃波療法

音波の一種である衝撃波を皮下脂肪組織に伝達させることで、線維性隔壁をゆるめ、セルライト特有のデコボコを改善する治療法です[※1]。
衝撃波によってリンパの流れが促進されることで、余分な水分や老廃物が排出される効果も期待できます。
衝撃波を搭載した医療機器に「ファットインパクト」があります。美容外科・美容皮膚科で体外衝撃波療法によるセルライト除去を試したいなら、ファットインパクトを導入しているクリニックを探すといいでしょう。
④サブシジョン
セルライトの引きつれの原因となっている線維性隔壁を医療用の特殊な針で切断し、物理的にデコボコを解消する方法です[※8]。
日本ではサブシジョンはニキビ跡の治療でよく用いられている治療法ですが、セルライト治療の方法としてはあまり一般的ではありません。
一方、アメリカでは中等度~重度のセルライトに対して有効な治療法の1つに位置づけられており、FDA(アメリカ食品医薬品局)に承認されている医療機器も存在しています。
まとめ:セルライト除去は「継続×多角的アプローチ」がカギ
セルライトができるメカニズムには様々な要因が複合的に絡んでいるため、単一の方法ではセルライト除去効果は限定的です。セルライトのたまり具合に応じて、複数の方法を組み合わせた対策をしましょう。
セルフケアで改善を目指す場合の組み合わせ
- ヘルシーな食事と有酸素運動
- マッサージ(セルライト対策用のクリームを使うとより効果的)
医療施術で改善を目指す場合の組み合わせ
- ラジオ波療法(RF)または体外衝撃波療法
- 食事・運動習慣の見直し(セルライトを改善し、再発を防ぐため)
セルライトを根本からなくすには時間がかかりますが、正しい知識を身に付けてこつこつ努力を重ねていけば、太ももやお尻のデコボコは必ず改善できます。
参考文献
※1 Piotrowska A, et al.: Int J Environ Res Public Health. 2022; 19(6): 3385.
※2 Young VL, et al.: Aesthet Surg J. 2020; 41(6): NP521–NP537.
※3 Rawlings AV: Int J Cosmet Sci. 2006; 28(3): 175-190.
※4 Tanzi EL, et al.: Lasers Surg Med. 2022; 54(1): 121-128.
※5 Guardo AD, et al.: Medicina (Kaunas). 2024; 60(5): 781.
※6 Al-Issawi SO: Revista Bionatura 2023; 8(3): 1-12.
※7 Dhillon RK, et al.: Aesthet Surg J. 2023; 43(12): 1508-1520.
※8 Casas LA, et al.: Aesthet Surg J Open Forum. 2024; 6: ojae031.

